isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記)

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「非モテ&非コミュ」小説家としてのラファティ、あるいは別の何者か

タイトルは釣りです、と言えないわたし。

レイフェルおじさんを、知っているでしょうか?
SF小説家レイフェル・アロイシャス・ラファティ。
宇宙一の法螺吹きおじさん。
あのSF最重要・最高作家と呼ばれるジーン・ウルフをして、

 レイフェル・アロイシャス・ラファティの短篇をひとつでも読んだことのある真の読者ならば、言うまでもなく、彼こそが我らの中でもっとも独創的な作家だと知っているだろう。実を言えば、 彼はただ我らの内だけでなく、文学の歴史においてもっとも独創的な作家なのだ。

と言わしめ、また、あの奇才スタージョンに、

 ラファティのように書く作家はどこにもいない。いまだかつて一人もいたことがない。


と述べさせる作家である。
まさに、ワン&オンリー! クラークの『都市と星』のアルヴィンのようだと思います(新訳、未読です~)。
わたしは真剣に、ラファティの「姪っこ」になりたいと願うことがあるのですよ。あんまりにも好きすぎて、ちょっと冷静になれないくらいなので、暑苦しいのは御寛恕のほど願いたい。
日本での代表著作は去年の夏、めでたく「コクショウカンコさん」ご推薦で復刊したこちらではないかしら?

九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)
(1988/02)
R.A. ラファティR・A・ラファティ

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この本とこちら、

つぎの岩につづく (ハヤカワ文庫SF)つぎの岩につづく (ハヤカワ文庫SF)
(1996/10)
R.A. ラファティ

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のあとがきには、訳者の伊藤典夫さんがレイフェルおじさんに会ったときのようすがおさめられています。乱暴に要約すると、あるSF大会でおじさんは缶ビールを片手に酔っ払い、知人を見つけると「Bang!」といいながら相手の肩先にぶつかっていた、と。
後日、伊藤さんはジュディス・メリルと会って、誰がいちばん興味深かったかきかれ、ラファティとこたえます。そして、

 「そういえばラファティというのは、いつもあんなふうに誰とも口をきかないの?」
 「そうね」とジュディはいった。「『年刊SF傑作選』をつくっていたころ、ラファティの小説に感心して、会うのを楽しみにしていたの。ようやくあるコンペティションで会うことができて、どんなひらめきのある言葉がとびだすかと期待していたら、全然あてはずれ。知性のかけらも感じられない」


……そ、そんなにガッカリしなくとも……と言いたいですが。
メリルさんのお気持ちは、わからないでもない。
このレイフェルおじさんの態度って、まるでコドモの遊び、ですよね? 不器用というかなんというか、コミュニケーション下手なことは間違いない。今でいう「非コミュ」?
つづいて、『九百人のお祖母さん』あとがきから、作者ラファティ自身の紹介文を。

 わたしは順不同にいうと、五十一歳、独身、電気技師、でぶである。

そして87歳で天に召されるまで、一生涯、結婚しませんでした。
敬虔なカトリック教徒であるレイフェルおじさんは、食人などのずいぶんグロテスクなはなしをたくさん書いていますが、卑猥な単語は記さなかったそうです。
それから、一群のカミロイ人もの他、『地球礁』などに登場する「アンファン・テリブル(恐るべき子供)たち」は彼のお得意のテーマでした。

地球礁地球礁
(2002/09)
R.A. ラファティ

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また、自分を「人間」だと思っていなかったような節があります。その件は、『イースターワインに到着』のアロイシャス・シップラップに関するある科白とともに記憶しているのですが、既読の方は少ないでしょうから(絶版なので!!)、ここでは明かしません。アロイシャスは、全宇宙的スケールでけったい(!)な機械エピクトの創造者のひとりです。

イースターワインに到着 (サンリオSF文庫)イースターワインに到着 (サンリオSF文庫)
(1986/08)
R.A. ラファティ

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同じように、ヒューゴー賞受賞作品「素顔のユリーマ」においても、彼はその「非コミュ」っぷり、「非モテ」っぷりを余すところなく示しています。わたしが読んだのはこの本。

ロボット・オペラロボット・オペラ
(2004/06/19)
瀬名 秀明

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たいそう不器用な少年が機械をつくり、そして……というおはなし。
レイフェルおじさんは、こう言います。

 わたしはおとなにはならなかった。ただ、みっともなく年をとっただけだ。

ここでいう「おとな」って、つまりは「大人の男のひと」という意味だと思います。イメージとしては、結婚して子供のいる、よき夫よき父親としてのオトコ……ハリウッド映画的なナニかではないかと。
レイフェルおじさんは「おとな」にならなかった。いえ、なれなかったのでしょう。
たしかに、おじさんの小説に包容力はない。あと、大人の男女のおしゃれな会話とかもない。でも、恋愛がどんなに滑稽なものか、どれほど恐ろしく不条理なものか、そういう真実は、ちゃんと、しっかり書いてある。
おじさんの語りの緩急は凄まじく眩暈がするほど魔法的で、「そこへ、イっちゃいますか!」と叫びたくなるほどぶん投げて終わってしまうはなしもある。それはまるで「現実世界」のような救いのなさで、むろん、癒しとも縁遠い。ほっこりするはなしもあると念のため断っておきながら、やはり、おじさんの真骨頂は悲喜劇にこそあると言いたくもなる。

それでも!!
わたしは、おじさんの小説が大好き。そこには「真実」がある。おはなしの「魔法」がある。
そして、偉くて立派で強いからってオンナコドモを馬鹿にするようなオトナのオトコより、いい年をして「Bang!」って遊べるおじさんのほうがずっと好き。もしおじさんが缶ビール片手にぶつかってきたら、ワイングラス片手にぶつかりかえすぞ(笑)。

本当のおとなって、この世の悲劇を笑い飛ばしながら、そこから目をそらさず、なにも誤魔化さないひとだと思う。小さなものたちへのやわらかな、尊敬に満ちたひとみをむけるひとをさしていてほしい。

おじさんは、大人の男にはならなかった。
ずっと、子供でいた。
しょうがない。否、それでいい。
おじさんの本当の正体は、《天使》だから。子供のことを「天使」っていうよね。それに、ほら、その名前を見るとわかる。

Raphael  Aloysius  Lafferty

大天使ミカエル・ガブリエルと並ぶ「ラファエル」の名がある。
そして、おじさんはきっとただの天使じゃなくて、《機械仕掛けの天使》。
わたしには、くりかえして語られる機械好きの少年、または機械そのものであるエピクトに、自己の分身たるイメージを重ね合わせたレイフェルおじさんが見える。

さいごに、その『イースターワインに到着』でエピクトの語る巻頭言をあげたい。
おじさんはここで、自らのホントウのほんとう、不滅の真実となる「言葉」を口にしていると感じる。
 

 さあ、きたまえ、きてこのハイ・ジャーナルを読みたまえ、きみたちが言葉を愛さなかったらどうしてコミュニケーションを愛せるだろう。第一どうやって愛を伝える(コミュニケート)するんだね? いやまた駄洒落をいっちゃったなあ。


レイフェル・アロイシャス・ラファティ、
1914年11月7日 に天より地上へと遣わされ、
2002年3月18日、いまいちど天へと召し戻される。

《史上最高のSF作家》という肩書きは、翻訳者・大森望氏がすでに捧げている。
わたしは、《愛を伝えるために遣わされた機械仕掛けの天使》という名称をこそ捧げたい。
レイフェルおじさんは、今でもきっと、宇宙のどこかで「特別な物語」をかたっていると思う。
語っているなのか、騙っているなのか、そのどちらかはわからないけれど。


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コメント

ラファティーと聞くと、グフィグフィとか、奇妙な唸り声と涎が出ちまう・・・(汚くてすみません) かなり好きですぅ。ふみゅみゅ。

ところで、「暑苦しいのは勘弁してもらいたい。」だと、意図しているのと逆になっちゃうのでは。 「・・・は御寛恕のほどお願いしたい」とかでは如何?
って、敬愛する作家さんに添削?の仕儀に及んだこと、弩厚かましいを超えて無礼ですよね。すみませんm(_)m

Re: タイトルなし

きゃあ、ぶりさん!
レイフェルおじさん、涎たら~りなほど、御好きなんですの??
いやあんv-238
わたし、ぶりさんの両手をガシっと掴んでぶんぶん振り回してますよ~~~☆

> ところで、「暑苦しいのは勘弁してもらいたい。」だと、意図しているのと逆になっちゃうのでは。 「・・・は御寛恕のほどお願いしたい」とかでは如何?
> って、敬愛する作家さんに添削?の仕儀に及んだこと、弩厚かましいを超えて無礼ですよね。すみませんm(_)m

そんなことないですよ~。主客(彼我の用法)の問題ですよね。直しました☆
低姿勢のようでえらそ~に言ってる(笑)というニュアンスを含ませたかったが、滑りました。
ご指摘、ありがとうございます!

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オリジナル小説サイト『唐草銀河』(R18一部例外あり)の管理人・磯崎愛です。
SFとファンタジーと世界文学とアート好き。
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