isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記)

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フランス中世コントと芥川龍之介「藪の中」のあわいに見つけたもの

『ラカンはこう読め!』の日本語版序文にある『羅生門』解説の一部が疑問な件  Ohnoblog 2

こちらの記事を読んでいたら、
むくむくと、
十何年、いえ、二十年近く疑問に思っていた問題が首をもたげまして。

フランス中世コント「ポンチュー伯の息女」と
芥川龍之介の「藪の中」って関係してるの???


自分的には色々あるのですが(笑)、
結論は、
こちら!


 『藪の中』の比較文学的考察 [in Japanese]
 渡辺 義愛 著

 上智大学仏語・仏文学論集
 上智大学仏文学科 [編] -- 上智大学仏文学科. -- 1 (1967)-
 


こちらから、PDFファイルをどうぞ!
はじめから、CiNiiに行けばよかったというオチ。
でも、まあ、まわり道の楽しさもありまする。


上記論文は、芥川の文章とその霊感源になった諸作品の詳細なテクスト比較あり、
作家の芸術観、女性観あり、
ファンならずとも興味深いのではないでしょうか。

読後、胸を貫くおもいは、芥川作品に限らず、小説の生まれいずる場所からそれが成立するまでの道のりは、わかりきった単純なものではない、という当たり前のこと。
それに、ここにあがっている作家・作品名だけみても、こころ踊りませんか?

『今昔物語集』、
ロバート・ブラウニングの Men and Women、The Ring and the Book、Dramatic Lylic
小泉八雲、Appreciations of Poetry
アンブローズ・ビアス「月明かりの道」
アンリ・ド・レニエ「復讐」(森鴎外訳『諸国物語』)
テオフィル・ゴーチェ Le roi Candaule
ウィリアム・モリス The History Of Over Sea
(写し間違えてないと思いますが……)

この、モリスによって、芥川先生は先の La Fille du Comte de Pontieu(「ポンチュー伯の息女」)は、を知ったそうです。
そして、芥川の卒論、モリスなんだ~、とびっくり。
日本文学好きのみなさんには有名な話なのかもしれませんが、なにせ、芥川自体を読み返すの、二十年ぶりくらいなので(笑)。


あ、個人的にはマルセル・シュオッブの名前が挙がってたのが面白かったです。
影響のあったという確証はないようですが、なるほど、似てるといえば似てる。芥川とシュオッブ。


ということで、わたしが調べられた限りのモノは、したにあげておきます。
これの翻訳はこれだろうとか、そういうものがありましたら、教えていただけると幸いです。


まずは、本題の芥川本。


地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)
(1980/01)
芥川 龍之介

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つづいて、わたしのこころを捕らえて離さない、魔法の宝玉のような文学集。珠玉というより、まさにマジックアイテム(笑)。
前のブログでもご紹介してますが、ほんと、おすすめ!


笑いと愛と    フランス中世文学集 3笑いと愛と フランス中世文学集 3
(1991/12)
新倉 俊一、

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「ポンチュー伯の息女」の底本。


それから、今昔物語集。


今昔物語集〈4〉 (新編 日本古典文学全集)今昔物語集〈4〉 (新編 日本古典文学全集)
(2002/05)
馬淵 和夫、

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ブラウニング、とりあえず見つかったのを。コレというのが同定できませんでした。


指輪と本〈7〉Pompilia (1979年)指輪と本〈7〉Pompilia (1979年)
(1979/06)
池田 祐重Robert Browning

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ロバート・ブラウニング劇的独白詩への序章ロバート・ブラウニング劇的独白詩への序章
(2005/12)
野口 忠男

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Poems by Robert Browning いくつか原詩が読めます。


それから八雲。


小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の世界 (第23回 大阪樟蔭女子大学図書館展示)


Appreciations of Poetry (1916)Appreciations of Poetry (1916)
(2008/06)
Lafcadio Hearn

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いくつかあったのですが、表紙が綺麗なの選んだだけで、中身を知ってるとか、そんなんじゃありません。外国語苦手ですから。

そして『悪魔の辞典』が著名なビアス(昔、よんだ)。でも、わたしにとっては、ラヴクラフト&ジェラルド・カーシュでお馴染みです(笑)。


ビアス短篇集 (岩波文庫)ビアス短篇集 (岩波文庫)
(2000/09)
アンブローズ ビアス大津 栄一郎

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おつぎは鴎外先生。ん~む、これは読むぞ、と。


諸国物語〈上〉    ちくま文庫諸国物語〈上〉 ちくま文庫
(1991/12)
森 鴎外

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テオフィル・ゴーティエは、ふたつ、並べておきます。


Le Roi Candaule (Dodo Press)Le Roi Candaule (Dodo Press)
(2009/03)
Theophile Gautier

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Le Roi Candaule de Théophile Gautier (1844)


それからモリス。日本で全集が出てるのですが、これがどこにどう訳されてるかわからなかったので。


The History of over SeaThe History of over Sea
(2009/04/30)
William Morris

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いろいろ調べていくうちに、人間、好きなものはなんのかんのと繋がってるなあって感慨深く思いました。
とにかく、ブラウニングですよ!!
いぜんから注目してたのですが、「ブラウニング、おまえもか!」的にここにも顔を出してきてため息です。
ん~む、やはりラファエル前派のあたりはもうちょっと調べよう(英国のイタリア受容)。
といっても、カトリック絡み、フランスとアイルランド(ケルト方面)主にして。
まあ、本土よりわたしの性にあってる。


ところで、ここでいきなり「ポンチュー伯の息女」の解題から抜粋します。

 
 物語は、在来の、罪を得た女が死一等を減じられて海に流される「流刑」の主題、主人公の願いが試練を経た末にかなえられる「彼岸成就」の主題を軸として、これに巡礼行と異教世界を絡ませたものだが、何といっても、夫の近くで盗賊たちに犯された妻が夫の殺害を計る衝撃的な事件を扱っているだけに、反響は非常に大きかったようである。


このおはなしのツボは、ここではなくて、実のところ後半の「贖罪」の部分にあると思えます。
海に流された主人公はサルタンの奥方様になり子供を生んで平穏無事に暮らしていました。いっぽう、彼女を流刑にした男たち(夫・実父・弟)はそのことを悔いて巡礼の旅に出る。そして、サルタンの地で囚われ殺されそうになったところ、彼女の才知と機転によって救われる。かつての残酷な振る舞いを、彼らが深く反省していると聞き出したがゆえに。
その後はあれよあれよと、無事にフランスへと戻ってくる……「行って戻る」という物語の基本パターン。ラストはサラディンの名前まで出てくるオマケつき。語り、巧いねえと嘆息(笑 ←語り継がれてるんだから当たり前だってば!)。


とはいえ、ようく考えなくとも、このはなし、いろいろと飲み込みづらい。
封建時代だから、被害者なのに非は彼女にあるとされてるし。
それで気持ちを入れ替え、当時の社会状況や価値観を現代のそれに適応して読むのはチガウよなあと思った瞬間、でも、
「中世も現代日本も、痴漢被害とか考えると女性の立場、実はそんなに違ってなくない?」
と思い至りガックリ。

そう考えると、こんどは、主要登場人物たちが許しあって幸福になる「中世コント」のほうが、わたしには不思議に差別的に思えなくなる。もちろん「ゆるし」というものが「許さなければならない」という、女性に寛容を求める物語であってはならないだろうけれど、互いの理解が成るとほっとするのも個人的事実。
それって非常によくできた物語の癒し効果を味わっているということなのかしら?  
そのいっぽうで、この作品の人物たちには奥行きが感じられる。「後代の『ヌーヴェル』の先駆的作品でもある(上記解題より)」ように、マックス・リュティのいうところの民話の登場人物のもつ「平ら」さから逸脱しているがゆえに、こちらに訴えかけるものがある。
また、ひとのよいサルタンの騙されっぷりは異教徒を愚かに描いたのかと想像させながら、彼らの敵が実はとても人道的で思いやりがあると訴えかけているようにも勘繰れる。
う~ん、いろいろ面白い。

でもね、もしもこの家に娘として生まれたら、イヤだわあ。
(名伯爵家に生まれるつもりかとつっこまないでくださいね
だって、ポンチュー伯爵家って「実在」するんですよ?

Liste des comtes de Ponthieu - Wikipédia

封建的家父長制のなかで、ポンチュー伯の「現実の娘」は、どんなふうに生きたのだろうか……?
このコント以上に過酷であったかもしれない。
読み終えて思ったのは、そんなことでした。


そして、そんなわたしがラストにご用意した、この記事の本当のオチは、ここ!

 
 『赤毛のアン』で、モンゴメリは、大長編の物語始める前に、まずは、モットー(題辞、題銘)として、次の二行を書いている。

 あなたは良き星のもとに生まれ、
 精と炎と露より創られた。
                  ブラウニング

 この詩の出典は、イギリスの詩人ロバート・ブラウニングの詩「エヴリン・ホープ」である。

 赤毛のアン電子図書館


女性によって描かれた、女性の人生の物語。
そのはじめに、こんな素晴らしい詩があったとは!


  The good stars met in your horoscope,
  Made you of spirit, fire and dew---
 



これが、この宿題のご褒美になりました。
モヤモヤしていましたが、これで、スッキリできそうです。


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宿題がたくさんっ!

こちらのブログに書きかけの下書きたくさんあります。
なんか、ちゃんと、自分が興味もって知りたかったことは、キリがつくまでやらないとダメだと思います。もちろん、興味の範囲は広がるし、最終的に区切りはつけられないものなんだけど。
でも、なんていうか、
ここまでヤッタ! 
ていえるくらいのことは、自分でしないといけないな、と。


とりいそぎ、順不同でメモってみる。


1 ダンテの日本受容
2 ロダンとダンテ
3 ソシュールを読む
4 芥川とフランス中世コント
5 英国(またはアイルランド)のヴァザーリ受容
6 鴎外を読む
7 漱石の「明暗」と「ネコ」の再読

1 は、S青年からとりあえず正宗白鳥だと教わり、どうにかなりそう。あとは島崎藤村のフランス滞在中のものを読むと面白いとのこと。島崎藤村、ヴィンケルマンは英訳で読んでるそうです。

2 は、モノグラフ一個でよいや。投げやり。松方コレクションの絡みも知りたいので余裕があればカタログも。

3 は、『講義録』からいちど撤退して新書を読んでるところ。コトバをもっと理解しておきたい。

4 は、これから調べます。ずうっと気になって読み比べたかったの。

5 は、無理かも。まあ、これはラファエル前派のひとたちのモノグラフを並べわたせばいいだけのはなしで、わたしにとって本当に大事なのはヴァザーリではない、あのひとのことなのでね。

6 は、どうもわたしは鴎外さんの影響が強い気がして、やはり原点回帰。大陸に住んだ鴎外と、英国に住んだ漱石では、わたしは鴎外にキモチが行く。20数ヶ国語に通じていたってのは都市伝説??

7 は、ネコ。英国のヴァザーリ事情も含めて。アンドレア・デル・サルト。そうそう、ここで名前おぼえるよねってことを再確認しようかと。「明暗」はいろんなひとに嫁ヨメいわれるから、よんだほうがよさげ。覚悟決める。


ま、そんなところです。
調べ物の、ほんとうのメインは言わないの。えへ。


ではでは、更新ない間も拍手いただきましてありがとうございます。
(こちらのブログにも! ありがとうございます!)

書いてるので、すみませんが、お待ちくださいね。
自分の小説を変えたいと願っているところ、なのです。
もっともっと面白い小説が書けるようになりたいです!!

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オリジナル小説サイト『唐草銀河』(R18一部例外あり)の管理人・磯崎愛です。
SFとファンタジーと世界文学とアート好き。
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