isozakiaiの呟き置き場(旧:愛のカラクリ、AI日記)

彷徨ってますw ここにはツイッターおいときます。

誰も、知らない

ハザール事典―夢の狩人たちの物語 男性版ハザール事典―夢の狩人たちの物語 男性版
(1993/05)
ミロラド パヴィチ

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よんだのは「女性版」ですが、今日は男性版をあげてみる。


いやあ、すごい!
すごいすごいすごいっ!!
バカみたいに凄いとくりかえしてみる(笑)。


わたしは「書物」というものがそもそも好きなのですよ。
ことに、「写本」ってやつがもう、たまらんのです。
この本は、なんといっても初版の「写本」の成立や流転の物語からしてもう、
目を皿のようにしてその妖しい記述を読みまくり。
はまった~~~~、
気持ちいいくらい、はまりまくりです!!
まさに、書物に溺れる愉悦ってやつですね。
語りは幾重にもからまるし、過去と未来と夢と現と、う~ん、もう、これは繰り返して読まなきゃ!
ナンデモアリの小説です。
ほんと、超おすすめ!


で、まあ、そういう「物語」の面白さは今日は脇において、
(だって、開けばワカルもん!)
ユーゴスラヴィア、旧ユーゴっていったほうがいいかな? に関連する作家やら何やらを、
点々と、ご紹介しつつ、何かを語ってみようかなと。



まずは、映画。


ノー・マンズ・ランド [DVD]ノー・マンズ・ランド [DVD]
(2002/12/18)
ブランコ・ジュリッチレネ・ビトラヤツ

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日本語のサイトもあるので、よければそちらもどうぞ!

ノー・マンズ・ランド公式サイト



たぶん、DVDの特典映像のことだったと思う。

来日した監督が、主人公のひとりに、ローリング・ストーンズの、例の舌を突き出してアッカンベしたTシャツを着せたことについて質問されていた。「世の中にはビートルズファンとストーンズファンがいるってことだよ」みたいなことを返し、わたしはなるほどと思った。正確な記憶ではなくて申し訳ないのですが(わたしのソレはやたら悪い)。


みた当時の感想はこれだけ。


「やられた。これはヨーロッパ人にしか作れないよ。ボスニアのひと。すごい。これがまた、おかしいほどステロタイプなフランス人とドイツ人と。しかも、愛人連れた上官がねえ。脚本そのほか細かいツクリも素晴らしい」


これ以上は書けないできて、今も、語れない。
極限下でも、人間は、人間として生きていくのだけれど、そこにかの素晴らしき「ユマニテ」と呼ばれるそれがあるのかどうか……わたしには、こたえを出せない。

この映画はいわゆるシチュエーション物に区分されるであろう究極の物語で、点が線になり面になってアチコチ動いていくのに、そのところどころで事態は複雑に交錯し悪化し、ついには糸が切れ始め、最後は点になり、消失する。

「尊厳」やら「想像力」やらという問題もさまざまに絡んできて頭はゴチャゴチャする一方、たぶん、ソコへ落ち着いてしまうのだろうなあという場所、自分が脚本家なら、たぶん、そこらあたりに落下させるであろうところへ物語りはみるみるうちに、風船の空気が抜けでもするように萎んで小さくなって落ち込んでいく。その、点の小ささが、恐ろしい。

収束と終息……その線の集まり来たる過程と要因とが、繊弱きわまりない人間存在をあらわにしていくさまに呆然とする。


その手腕は鮮やかで弛みがない。
あの三人の女神たち、運命の糸を操る彼女たちの手さばきほども美しい。
美しいということばをこの映画で使うのは何か間違っていると思うけど、
でも。
そうとしかなりえない、ありえない、何か定められてでもいるかのような、そこに抗うのがひとの営みだというのに、どうしてか、そんなふうに思ってしまった。
いってみれば、「無力感」に支配されていた。


人間がふたりいればすでにそこに対立ができあがる。
ユーゴの、サラエヴォの、ボスニアの問題は、わたしには理解しがたいとも理解できるとも言いづらい。

正直にいえば歴史的な経緯でさえ、上手に追えていない。
ただし、90年代からずっと、気にはなっていた。
だから言い訳のようにチョボチョボと、本を読みつづけている。



バルカン・エクスプレス―女心とユーゴ戦争バルカン・エクスプレス―女心とユーゴ戦争
(1995/01)
スラヴェンカ ドラクリッチ

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「東欧のボーヴォワール」と呼ばれるひとの著作。
戦争のある場所で女性が生きるということがどういうことか、難民へのいわれない偏見に満ちた視線を自身で自覚するとき、爆撃への生理的な、根源的な恐怖、ひとを殺しに行く少年への戸惑い、組織的集団レイプ被害者に取材する前日の夜の精神的な弱さ・・・そうしたものが赤裸々に、いたずらにゴシップ趣味に堕することなく、日常生活を営もうという清冽な品位はたもったままで、描かれている。

ときにその気丈さが失われていくこともあり、そこを突き抜けて書こうとする著者の姿が本当に美しい。

また実の娘だけは戦争のない土地で暮らしてもらいたいと願う母親のこころの動きなどには、思わず泣きたくなる。


または、


ぼくのうちは殺された―クロアチアの小さな村からぼくのうちは殺された―クロアチアの小さな村から
(1997/08)
ムラデン クーシェッツ

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こちらになるともう、わたしには言葉が出ない。
「読んでください!」とひとにも言うことさえも、難しくなってくる。

これは、クロアチア側からの「声」で、それは同時に「被害にあっている子供たち」のソレ(この本は子供がかいたものを編集したので厳密にいえば幼い子供たちの声に託して大人が言いたいこととも読める)で、また逆の立場には同じように悲鳴をあげるひとがいて、同じように破壊行為をするひとがいるのだろう。


その現実は、受け止めがたい。

受け止めがたいなんて言ってられる自分が、あまっちょろくてキライだと思いながら、そんなふうに言えるくらい追い詰められていなくてよかったとも思う。
ひどい言い草だと我ながら嫌になるけど。


そんなわけで(どんなわけ?)、こういうものも、あります。



サラエボ旅行案内―史上初の戦場都市ガイドサラエボ旅行案内―史上初の戦場都市ガイド
(1994/11)
不明

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おなじみのミシュラン・ガイドをパロディする要領で、戦時下の街を切り取っています。
その状況をこうやってユーモアにできる、笑いをもたらそうとする作品にしあげることのできる、そういうココロの持ち主たちに敬服します。

最後の頁まで読んでいって、何故だか泣きました。
そこに特別なことが書いてあったのではないけど、ホロホロ涙がこぼれました。

でもそれは、たんじゅんに悲しかったからでも辛かったからでもこわかったからでもなくて、わけのわからない気持ちだったように思います。

希望という言葉は、使いたくないのです。

それは、その場所にいない人間がつかってもいいものか、わたしにはわからないから。



最後にご紹介するのは、やはり旧ユーゴスラヴィア出身の作家ダニロ・キシュ。



死者の百科事典 (海外文学セレクション)死者の百科事典 (海外文学セレクション)
(1999/02)
ダニロ キシュ

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旧ブログでもご紹介したのですが、なんどでも!
この語りの声の調子のまるで違うこと、そしてその凄まじい威力!
「死」を語ることの難しさは、自分がそれを体験していないという一点に集約されるだけではないと、
つまり、人間ひとりひとりの「生」を語ることだってすごく難しいことで、
そんな大前提をうっかりと思い出します。


わたしたちは絶えず民族紛争や戦争やテロのある時代に生きていて、そうではない場所があるのかどうか、誰も理解できないまま死んでいく生き物なのかもしれない。

ただ、この国に住んで、いまこの瞬間にそうしたもので命を奪われる不安がない状況が、とてもありがたいと思う。それだけのことを、ただそれだけのことではなく、大変貴重なものだと感じる。

誰もそれを知らず、ただこころのなかにのみあると想像する……だから、死後の世界はたいてい「楽園」だと思われるのかもしれない。

逝って、帰ってきたひとはいないから。



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愛だ恋だというはなしなのだろうか?

『夢詩壷』 番外編 「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 8話 これにて完結しました!


拍手やランキング押してくださっているみなさん、
ほんっとおおにありがとうございます!
感想やらツッコミやら批判やら、お待ちしておりますv

お目汚しの後は、美しい音楽を!
作中で龍村功の聞いてる曲は、このなかの「リゴレット・パラフレーズ」です。

Vladimir de Pachmann plays Chopin, Raff, Schumann & LisztVladimir de Pachmann plays Chopin, Raff, Schumann & Liszt
(1993/01/21)
Frederic Chopin、

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さてと、これで『歓びの野は死の色す』へ戻れるかな?


今日の御本はいま読んでて超絶夢中のこちら!



ハザール事典―夢の狩人たちの物語 女性版ハザール事典―夢の狩人たちの物語 女性版
(1993/05)
ミロラド パヴィチ

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うひゃあああああああ!

これ、これ、これすごいですよ!
ネタばれですが、これは、それをばらさないと面白くないから言うぞっ!!

みなさん、これ、事典じゃありませんよっ、小説ですよ、ショウセツ!!
ハザール王国という、かつてカスピ海と黒海の間にあった幻の国についての事典。
しかも、初版は1691年で、その第二版という「体裁」(ここ、要チェック! つまり、それも「創作」)をとってます。
そして、この初版本がいわくつきv

わたしが大興奮なわけも、おわかりいただけるかと?(笑)
(『歓び~』の「つくり」を思い出してくださいませv)

男性版と女性版があって、わたしは女性版をよんでます。
世界25カ国で出版されてるそうです。
つまり、日本だとアイウエオ順に文字(項目)が並んでるってことです。
ね?
これ、よその国だとどうなってるんでしょうねええ??


辞書形式だから、読み終わる必要もない。
とはいえ、読み終えるとそこに絶対に何かが立ち上ってくるわけで、
わああああ、もう、ドキドキですっ!


む~、世界は広い!
ショウセツ世界も広大だ!


さて、わたしも面白い小説が書けるようがんばりますv



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オリジナル小説サイト『唐草銀河』(R18一部例外あり)の管理人・磯崎愛です。
SFとファンタジーと世界文学とアート好き。
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甘辛両刀(ニヤリ)。
がらくた銀河』なんてのもやってたり☆

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